安いままで、作り続けられるのか――モヤシから考える食卓の未来
モヤシ生産者の減少を伝える報道から、安さを求める家計と、作り続けるための価格の両方を考えます。
いつもの一袋の向こう側で
炒め物に入れる。鍋の具を増やす。ラーメンにたっぷり載せる。モヤシは、食費を抑えたいときにも頼りになる食材です。身近すぎて、どこで、誰が作っているのかまでは考えないこともあるでしょう。
FNNが10月15日に掲載した取材記事では、もやし生産者協会の数字として、生産者数が2009年の235から2026年度初めには86に減ったと伝えています。取材先の生産者は、原材料や燃料の上昇を販売価格に反映しにくい事情も説明しています。
ただし、これをもって全国の店でモヤシが買えなくなるということではありません。報道された一部の供給への影響と、地域ごとの店頭状況は分けて受け止める必要があります。
安く買いたい気持ちは、当然ある
ここからは、この報道をきっかけにした私の考えです。
食品の値上がりが続く中で、少しでも安いものを選びたい。その気持ちは、毎月の家計をやりくりするうえで自然なことです。作る側の事情を知ったからといって、使えるお金が急に増えるわけではありません。
だから、消費者が安さを求めるのはよくない、と片付けるつもりはありません。一方で、安い値段を続ける負担を、作る人だけが抱えていないかという視点も持っておきたいと思います。
一袋の値段には、続けるための費用もある
食材の代金には、原料だけでなく、人の仕事や設備を動かす費用、店へ届ける費用も関わります。値札を見ただけでは、その内訳までは分かりません。
これは食品に限らず、地域のさまざまな仕事にも通じる問いです。安いから選ばれることと、仕事として無理なく続けられることを、どう両立するか。経営する側には、値段を変える理由を分かりやすく伝える努力も必要なのでしょう。
もちろん、今回の個別企業の経営事情を、この一般論だけで説明できるわけではありません。会社ごとの判断や背景はそれぞれ異なります。
無理なく食べ切ることから
家庭でできることは、大きな話ばかりではありません。使う予定に合う量を選び、買ったものを食べ切る。安いからと多く買いすぎていないか、一度立ち止まる。それも食材を大切にする一つの方法です。
いつもの食材が、いつもの店に並んでいる。その当たり前は、作る人、運ぶ人、売る人の仕事で成り立っています。値段を見るときに、その向こう側も少し思い浮かべてみたいと思います。
家計にやさしいことと、作り手が続けられること。その両方があってこそ、身近な食材をこれからも選べます。一袋のモヤシをきっかけに、食卓を支える仕事にも目を向けてみませんか。
- FNNプライムオンライン/イット!|モヤシ生産者の減少と飲食店への影響(2026年10月15日掲載(10月14日放送)/10月16日確認)
※情報の基準日は2026年10月16日です。生産者数は報道が紹介した協会の集計であり、当社の独自調査ではありません。全国一律の品不足や今後の価格を予測するものではありません。後半は筆者の考察です。
