娘たちがよく使う『フレネミー』――友達なのに、なぜ疲れるのか
友達のようで、なぜか一緒にいると疲れる。若い世代で話題の『フレネミー』という言葉から、人間関係の違和感と自分を守る距離の取り方を考えます。
娘たちの会話で知った『フレネミー』
最近、娘たちとの会話で『フレネミー』という言葉をよく耳にします。初めて聞いたときは、映画やゲームに出てくる言葉かと思いました。ところが意味を聞いてみると、今の人間関係を実によく表している言葉でした。
フレネミーは、友達を意味するfriendと、敵を意味するenemyを組み合わせた言葉です。仲良くしているように見えても、人を下げる発言をしたり、失敗を喜んだり、何でも競争に変えてしまったりする相手を指して使われます。
TBS NEWS DIGは2026年7月、SNSの『フレネミーあるある』動画をきっかけに若い世代で話題になっていると伝えました。ただし、すべての若者が同じ意味で使っているとは限りません。人間関係の違和感を表す一つの言葉として受け止めるのがよさそうです。
一度の失言で、相手を決めつけない
人は誰でも、ときには余計なことを言ってしまいます。嫉妬することもあれば、相手より少しよく見られたいと思うこともあります。一度の失言だけで、その人をフレネミーと決めつけるのは早いかもしれません。
見るべきなのは言葉の印象より、関係が続く中で何が繰り返されているかです。うれしい話をすると毎回けなされる。人前で秘密を話される。困っているときは助けないのに、情報だけは聞きたがる。付き合ったあとに、いつも自信をなくしてしまう。
そのような状態が続くなら、相手を悪者と断定する前に、自分が安心できる距離を考えてもよいのだと思います。
SNSで、関係は切れ目を失った
以前なら、学校や職場から帰れば人間関係にもひと区切りありました。今はSNSやグループチャットがあるため、家に帰ってからも関係が続きます。『いいね』の有無、返信の速さ、写真に誰が写っているかまで、気になろうと思えばいくらでも気になります。
表では仲良く見えていても、裏では別の会話が進んでいることがあります。若い世代がフレネミーという言葉を使う背景には、こうした分かりにくい人間関係もあるのかもしれません。これは公的機関の見解ではなく、娘たちの会話と報道を踏まえた私なりの見方です。
文部科学省は、ネット上の誹謗中傷やいじめについて、学校だけでなく家庭や地域の大人も子どもたちを見守る必要があると案内しています。言葉の流行として面白がるだけでなく、本人が実際に困っていないかを見ることが大切です。
親は、すぐに答えを出さなくてもいい
娘たちが『この人、フレネミーかもしれない』と話していると、親としては『そんな人とは付き合わなければいい』と言いたくなります。しかし、本人にとっては簡単に離れられない関係かもしれません。同じ学校、職場、友人グループであれば、距離を置くことで別の問題が起きることもあります。
まずは正解を教えるより、話を聞く。その人と一緒にいると自分らしくいられるか。嫌だったことを嫌だったと言える関係か。会ったあとに安心するか、それとも毎回疲れてしまうか。この三つを一緒に考えるだけでも、自分に合った距離が少し見えてきます。
考えてみれば、同じような関係は若者だけのものではありません。職場や取引先、地域の集まり、昔からの友人関係にもあります。大人は完全に縁を切れない場面も多いため、秘密をすべて話さない、二人きりになる機会を減らす、必要な連絡は記録に残すなど、関係を壊さず自分を守る工夫も必要です。
言葉を知ることを、相談の入口に
フレネミーという言葉が広がったのは、それまで説明しにくかった違和感に名前が付いたからかもしれません。ただし、言葉だけで誰かを分類するのではなく、『自分は何をされて苦しかったのか』を具体的に考えることが大切です。
もし誹謗中傷、秘密の拡散、脅し、仲間外れなどが続いている場合は、一人で抱え込まず、家族、学校、職場など信頼できる人へ相談してください。SNS上の投稿やメッセージは、必要に応じて画面とURL、日時が分かる形で保存しておくことも役立ちます。
娘たちが使う言葉から、今の若い世代が人間関係をよく観察していることに気づかされました。友達だから我慢する、昔からの付き合いだから離れられないと思い込まず、ときには自分が安心できる距離を考える。これは私たち大人にも必要なことではないでしょうか。
人とのつながりは大切です。しかし、つながっていることと、無理をして付き合い続けることは違います。相手を一方的に決めつけず、自分の気持ちも置き去りにしない。そのバランスを、家族で話せるきっかけにしたいと思います。
- TBS NEWS DIG|友達でも敵?新語『フレネミー』がZ世代で流行るワケ(2026年7月報道・9月27日確認)
- 文部科学省|『ネット上のいじめ』から子どもを守るために(2026年9月27日確認)
- こども家庭庁|いじめ防止対策(2026年9月27日確認)
※『フレネミー』は人間関係の違和感を表す俗語であり、医学的・心理学的な診断名ではありません。一つの言動だけで相手を決めつけず、具体的な出来事と自分の気持ちを分けて考えてください。いじめ、脅迫、個人情報の拡散、身の危険がある場合は、学校・職場・公的相談窓口・警察などへ早めに相談してください。
